過去から今日、今日から未来へ先人が残した言葉を贈ろう。 異なる文化と歴史の中で人類を繋ぎ続けた言霊のリース。 幾多の時代を超えて、ひとつずつ解き放つ。
 
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コトダマピース 16詩*『道程』
2007-12-30 Sun 18:17
『道程』

僕の前に道はない
僕の後ろに道は出来る
ああ、自然よ
父よ
僕を一人立ちにさせた広大な父よ
僕から目を離さないで守ることをせよ
常に父の気魄を僕に充たせよ
この遠い道程のために
この遠い道程のために


                     【 高村 光太郎】


 「生命を奪うこと」~三部作~
*第二部*

いつかの深夜番組で、ある一人の男性が取材を受け、衝撃告白をしていた。
東大卒の50歳。
仕事は塾の講師。
見た目は小太りで眼鏡をかけていて、頭はすっかり禿げ上がってる。
服装は事務員みたいな地味なベージュのジャケットで、終始憂いのある表情を浮かべる。
何だ、ただの普通のオヤジじゃないの。
しかもまるで理不尽にリストラされた人のような、行き場を失ったような暗いオーラ全開で。
自宅の薄暗い蛍光灯の下でインタビューを受け、猫背気味にボソボソ答える彼を見て、
あまりにもつまらないと判断し、チャンネルを変えようとした・・・
その時。
平凡を絵に描いたようなその男性がおもむろに立ち上がり、しばし部屋から消える。
待つこと数十分、再びカメラの前に現れた彼は、もはや「男性」ではなかった。
そこには全く別人に成り代わった、一人の”女”が立っていたのである。

そう、彼の趣味は女装。
最近はこの趣味が実益を兼ねるようになって、女装サロンを経営しているのだという。
自身のブログやHPでも、その見事な艶姿ぶりをを頻繁に公開しているそうだ。
しかし、いくら派手な服装と化粧を施した女に化けても、
その全体像自体には相変わらず覇気がない。
場末の売れないスナックのママみたいな、
世間に倦み疲れたようなどんよりとした暗さが全身から滲み出ている。

彼が、女装をするようになったのには理由があるらしい。
何年か前に、実の父親が死んだことがきっかけだったという。
男…いやその女は淡々と語り始めた。
「 父親をとても尊敬していました。
 でも、ガンが発覚して、知った時はもう手遅れな状態でした。
 死ぬ直前、父は病室のベッドで、生命維持装置やら、点滴やら、それはもう痛々しい限り 
 で、息も絶え絶え横たわっていました。
 その状態から察するに、私はもうダメだと思ってたんです。
 先生も長くはないとおっしゃていました。
 ある日、父の容態が悪化し、一瞬心臓が停止しました。
 その時、私は先生に
 ”延命措置はいかがいたしますか?”と聞かれたんです。
 そこで、私は迷いました。
 このまま意識もないまま、生命維持装置と点滴でただ生かされるだけなんて、苦しいだけだと思いました。
 それならいっそ、早く楽にしてあげたいと考えて、先生に医療装置を外してもらうことにしたんです。
 そして、父は静かに息を引き取りました。
 後日、お葬式で父の会社の部下や知り合いが皆さん、口を揃えてこうおっしゃいました。
 ”素晴らしいお父様だったのに、どうしてこんなに早くに逝ってしまわれたのか…”
 それを聞いた時、私は思ったんです。
 皆から尊敬される父を殺したのは、他でもない”私”なんだと。
 あの時、私が延命措置をしていれば…父はまだ生きていたかもしれない。
 でも、しょうがなかったんです。
 ああするしか、私には他に選択の余地はないと、そう愚かにも判断してしまいました。
 死ぬほど、後悔しました。
 お葬式が終わってからもずっと自分を恨み、憎みました。
 それで、もう何もかも捨てたくなってどうしようもなくなって、やけくそになって…
 ある日、思い切って街に出たんです。
 女の格好をして。
 通り過ぎる人たちは皆、すれ違いざまに私を見ました。
 その視線を感じたとき、何故かものすごい開放感があって。
 そして、救われたんです、私の心が。
 それ以来、女装をすることは私にとって、精神のバランスを保つ行為なんです。
 そして、全国にもきっと私のような人間は沢山いると思うんです。
 だから、勇気をあげたくて。
 私は女装してるんです。」
 
これ、皆さんはどう思いますか?
私的には正直申し訳ないけれど、あ、この人、病んでる、と思った。
父親を失ったショックと傷が、まるで癒えてない。
なんかこう、健全な開き直りがないっていうのかな?
美輪さんとかIKKOさんみたいなさ、悟りというか独自の生き様というか、たくましい覚悟というか、
そういうのをあまり感じられなくて、
どっちかっていうと、説明しがたい切ないものを受け止めざるを得なくて。
そこから察するに、彼はもともと昔からゲイやらニューハーフの素質があってやってることではないんじゃないか?と感じたわけ。
つまり、父親を自ら殺した(と思い込んでいる)ことによって、自分の中の「父性」な部分を失ってしまったんだろうな、と。
だから、きっと好きでやっている以上にリハビリ治療なんだよね、彼にとっての。
いや、むしろリハビリになっていない可能性もある。
このまま死ぬまで、父=男性要素から目をそらし続けるのなら、
トラウマは一生消えないかもしれない、彼の場合は。
父親の死をきちんと受け止めた上で、
女装をするなら何か一線を越えた潔さみたいなものがあるのだろうけど。

それでも現段階で、
彼は(思い込みの部分が大きいが)人を殺めた罪にさいまれている一人である。
そして、これもある意味、「親殺し」に違いない。
もちろん、彼の場合は神様から大きな等価交換を余儀なくされた。
激しい痛みと悲しみを伴いながら、自分の中の父性さえ犠牲にするという苦しみを受けてしまったのだ。
日本における「親殺し」っていうのは、両親(特に父親)との摩擦が少なくなった現代っ子にとっての、
親を超える儀式に相当する行為なのだそうで。
人間は、成長していく段階で、どうしても親を超えなきゃいけないんだね。
その葛藤が、主に思春期に爆発するらしく、そこで子供の中で発生した感情の坩堝を両親、
もしくは祖父母等の他の家族、そして社会がきちんと真正面から受け止めて、軌道修正してあげないといけないんだって。
だけど、今の世の中は核家族や地域社会が崩壊してしまっていて、
本来はあるべきはずのクッションが極めて少なくなったから、
子供自身で必死に解決しようとしているの。
それが、「親殺し」という最悪かつ究極の形で表れ始めているというわけ。

だけど、親だって完璧じゃない。
一人の人間だもの、必死に生きてるんだよね。
自分の子供や家族を守ろうとして、現代社会の矛盾と戦い続けている。
親は親、子供は子供って線引きするんじゃなくて、
役割を頭から押し付けるのではなくて、もっと寄り添って、
お互いの立場を理解し合うってことが、やっぱりこれからはもっと必要だし、
何より大事にしていかなければ、
この世界は一体どうなってしまうんだ?ていう不安はずっと消えない気がするよ。

これは、なにも親と子の問題じゃないね。
もとを正せば、人間同士の当たり前の部分だから。

来年以降はもっと、こうした当たり前の事に力を入れて生きていこうと思う。
「あなたがいてくれて、本当に良かった」っていう感謝の気持ちを、
誇らしく胸張って伝えていけるように。


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この記事のコメント
こんばんは。
今夜もきてしまった(笑)

親子の関係は、難しいですね。
わたしには、息子と娘がいますが・・・。どうも言葉で
説明するのが下手で、つい感情的になってしまいます。

思春期の頃、第二反抗期とも言いますね。
自我の目覚めとも言えるのでしょうが。
そのときに、親がどう受け止めるかで、その子の未来に
大きく係わっていくようです。
また、反抗期のないまま大人になった子供は、
その反動が何らかの形ででてくることが多いそうです。
極端な例が「親殺し」なのでしょう。また、家庭内暴力もその反動ではないでしょうか。
親子の関係が上手く消化できていないというか、形成されていないのだろうと。

核家族化が田舎でも進んでいます。
地域との係わりも薄くなってきています。
親も子も、どう社会と地域と係わっていいのか
迷う時代になったのかもしれません。
それだけ、生きずらい世の中なのかな。
紅月さんが書かれているように、お互いの立場を理解しあい、
お互いを人として尊重しあうことが大事なのでは、と思います。
「自分が・・」という自我を捨てることはできなくとも、
小さくする努力が人と人とが係わって生きていくには
大事なように感じます。

長々と書いて、すみません。
来年の記事も楽しみにしてます。
薄っぺらなっわたしの知識に、紅月さんから、
たくさん刺激を受けます。ありがとうございました。

2007-12-30 Sun 21:39 | URL | きょう #PVNQBMzQ[ 内容変更]
きょう様

貴重なご意見、ありがとうございます。
なんだか私の独り言のような内容に
刺激をうけていただけるなんて、
すごく恥ずかしい限りです・・・w

私はまだ子供がいませんが、
子育てって本当に大変そうだな~と思います。
それ故、子供を持つのにまだ自信が持てません。。
だけど、ゆくゆくは自分の子供をしっかり育てていかなくてはいけないな~と思っていて、
今回のテーマで、そういう意識を色んな角度で確認していく感じでした。
でも、そこから何かしら感じ取っていただけるのは、
すごく嬉しく思います。
特に今回は何故か三部作にしちゃったし、
文章長いし、重いし、暗いしで、
途中で半分めんどくさくなったんですが、
投げずに最後まで書いてよかったな~とw
自分なりに、これは結構スルーされる内容かな~?と感じていたので、きょうさん以外にもわりと関心が高くて驚きました。
また、できるだけ刺激的なものを提供できるように
なんとか頑張りますw
こちらこそ、来年もなにとぞよろしくお願いいたします。
2007-12-31 Mon 04:41 | URL | 紅月スナイパー #-[ 内容変更]
トラウマ
誰にとっても、形は違えども、
人間間の関わりというのはあるわけで…
たとえ、それが存命しているの有無を問わず。

やってしまった!
それだけに囚われていると、
そこに棲む悪霊に取り付かれるのかもしれない。
その事実から、どう軌道修正していくのか…。
代替品は、所詮、そのものになれない。
厳しい現実を受け止め、もがき苦しむところからしか、
打開策への道は、見えてこないのかも。

「道程」は、私の好きな詩です。

良いお年をお迎え下さい。
そして、来年も宜しく☆です。
2007-12-31 Mon 19:04 | URL | 麦子 #GxAO5jdM[ 内容変更]
麦子 様

何か自分の中の壁だったり、現実の中に現れる大きな障害だったりを突破する時、
無傷でやり過ごすことってそうそう無くて、
たとえ痛みを感じてなくても、後で確認したらどこかしら傷ついていたこともありますよね。
でも、人間は皆、素晴らしい自然治癒力を持っていて、
たいていのことなら、体も心も自分で直していける。
同時に殺傷能力もあって、まるで矛と盾のような存在だと思います。
まぁ、そんな事を考えつつ、でもあんまり考えすぎると堂々巡りするのでw
あまり肩に力を入れず、来年も少しずつ書き綴っていきたいと思いますので、
これからもよろしくお願いします。


2008-01-03 Thu 17:40 | URL | 紅月スナイパー #-[ 内容変更]
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