過去から今日、今日から未来へ先人が残した言葉を贈ろう。 異なる文化と歴史の中で人類を繋ぎ続けた言霊のリース。 幾多の時代を超えて、ひとつずつ解き放つ。
 
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コトダマピース 7詩*『愛する言葉』
2007-11-02 Fri 00:29
『愛する言葉』

愛をうまく告白しようとか、
自分の気持ちを言葉で訴えようなんて、
構える必要はない。
きみの体全体が愛の告白なのだ。

好きな女性が、
ほかの男と結婚しようが、
こちらがほかの女性を結婚しようが、
それはそれだ、
ほんとうの出会いは、約束事じゃない。
恋愛というものさえ超えたものなんだ。

人間というのは、
生まれつきのかたちで、
生きているのがいちばん美しいんだ

ぼくの場合、
愛はすべて闘いだった。

たとえ別れていても、
相手が死んでしまっても、
この人こそ自分の探し求めていた人だ、
と強く感じ取っている相手がいれば、
それが運命の出会いだ。


                              【 岡本 太郎 】

時々、ネットで自分の名前を検索することがある。
この広い世界で、自分と同姓同名の人物が果たしてどれくらい存在するのか、確かめてみたいという好奇心が湧いたからだ。
私という個人の本名は、世間では少しも有名どころではないが、ひょっとしたら、自分の認知していないところで、個人情報が乱用されている危険性だって無きにしもあらずで、そういう事もきちんと把握しておかなければいけないとも考える。
そうはいいつつ、私の苗字はかなり珍しい部類に入るもの。
これまでどこに行っても、自分と同じ苗字の人に出会ったことはないし、小説やドラマにおいても、まずめったにお目にかかれない。
そういうわけで、実際に同姓同名なんてヒットするわけがないだろうと、たかをくくっていたら、意外や意外、たった一人だけ見事に大当たりしてしまった。
もちろん、まったくのあかの他人である。

私と同じ名前を持つその人は比較言語学において、ちょっとした著名人らしかった。
その人には失礼だが、まるで未だ見たことのない自分の分身が勝手に動き回っている、ドッペルゲンガー現象のような感覚についつい襲われた。
更に面白いと思ったのは、私の名前を姓名判断で占うと、必ずといっていいほど、言語や外国にとても深い縁があると出る。事実、私とまったく同じ画数を持つその人も、海外に長く留学し、現在英語と日本語を比較研究している。私自身も大学で英語やドイツ語を専攻し、海外の友達も少なくはないという点で、ある意味、外国や言語という分野にまったく無縁だとは言い切れない。
この奇妙な共通点、ただの偶然か?
それとも、たかが名前、されど名前で、やはり長い歴史の中で膨大に蓄積された統計学に確かな傾向があるのだろうか?

そんな疑問はさておき、この際、調子に乗って、思いつく限り友人やら知り合いやらの名前も面白半分に検索エンジンにかけてみる。

しかし残念なことに、どれもこれも期待を裏切って、総スカンを食らってしまった。
けれど、私はそれをひどく羨ましく思う。
何故なら、出所のわからない情報網に汚染されていないから。
そして、ネットには上がらないだけでどこかに存在するかもしれないが、検索されない以上、自分の名前を唯一無二、しっかり独占できているという事実。
他にはない個性を満喫できているではないか。


そんな嫉妬心を覚えつつ、この際ついでに過去の恋愛で好きだった人やお付き合いをしていた方々の名前も試してみた。

うーん、こっちは嫌なことに、実際の本人に三人もヒットしてしまった・・・

一人は劇団の舞台役者で劇の宣伝と告知、もう一人は建築家で作品発表、そしてもう一人は・・・
若くして、3年前にWEB制作系の会社を立ち上げ、なんと代表取締役になっていた。

最後の一人、この人が一番衝撃的を受けた。
しばらく、開いた口がふさがらない。
「え?何で??」
多分、生涯で一番、私に計り知れない影響を与えまくった最大級の恋のお相手。
そして、決して実らなかった、行き場のない愛。
何故なんだろう。今でも夢に見るくらい、忘れられなかった人なのだ。

仮にKと呼ぶ。
この人は前述の2番目の建築家の幼馴染みで、当初付き合ってる頃に友達として紹介された。
そして、俗にいう、脳天に電撃が走るほどの一目惚れをした。
それだけではない。話せば音楽や映画や本の趣味において、実にマニアックな趣向を持つ私とまったく感性が同じで、初対面にして驚くほど、申し合わせたくらい話題が合った
その瞬間に、生まれて初めて一人勝手な運命を感じた。

そして、もともと浮気性な建築家を早々に捨てて、愛の告白をした。
結果は無残、こっぴどくフラれた。
理由は私が「好みのタイプじゃない」から。
とは言いつつ、そんな事では簡単に引き下がらなかった私にこうも言った。
「大体、お前は建築家と付き合ってたし、あいつはなんだかんだいって腐れ縁だけど、友達でいることには変わりない。もし、お前と付き合うなら、あいつを捨てる覚悟が必要だ。でも、今はそんなつもりはない。もしも、こういう形で出会ってなかったら、きっと付き合ってただろうな。それにまだ、お前という人間がわからない」
言ってくれるじゃないか。
好みのタイプではないといいつつ、蛇の生殺しのような、憎らしい隙を与えやがって。

フラれた後もしばらく交流は続いた。
まるでこっちの気を引くように、当時私が働いていたアルバイト先に直々遊びに来たり、突然電話をかけてきて、クラブのイベントに誘われたり。
恐らく、こっちの様子をうかがっていたのだろう。
そういう関係が何年か続いて、ある日、二人の間に一つの転機が訪れた。
私と別れた後、建築家が結婚することになって、二人が招待されたのである。
とあるレストランバーを貸し切って、パーティが行われた。
私は別の友達と二人で行って、パーティーの最後まで残っていた。
その時、いつもならたいてい用事が済めばさっさと帰るKも珍しく最後までいて、私にこう尋ねた。
「この後、どうするの?」
私は友達の事があったから、「うーん、わかんないけど、もう少しいるかも?」と答えたら、何故か寂しそうな顔をして、「そっか・・・」とつぶやき、じっと私を見つめる。そして急に優しく手をつないできて「もう帰ろうと思うんだけど」と、普段のKらしからぬ意味深な言動。
私は正直、すごく戸惑って、何も答えられかった。
私達はしばし、何も言わずに見つめ合うだけだった。
でも、そこに私は一つの答えを見た。
ひょっとして、私達、今日の結婚式でお互い妙なしがらみから解放されたんじゃないの?
変にこだわり過ぎてた建築家の呪縛から。
確かにそう感じたのに、どういうわけか私は次にこう発言してしまった。
「それじゃ、またね」
その瞬間、二人の間の空気が固まった。
でもまた動き出した時、Kは複雑な顔をして「うん。また」と握っていた私の手を離した。
それから、何度も私の方を振り返りながら、出口に向かった。
私は何故か追いかける気持ちになれなかった。
名残惜しむようにKが扉を開けて出て行った時、私は寂しさと同時に安堵にも似た感覚で思った。
ああ、今この瞬間二人のタイミングがずれた、と。

どうして彼の後についていかなかったのか?
彼が消えていった扉が閉じられた時、ちょっとした安堵を覚えたのか?

それは、あの瞬間に、人生の大きな選択を見たからだ。
Kが手招きしたあの扉の向こうに流れる運命を受け止める自信がなかった。
心の準備というか、待ち受ける希望と失望の両方に自然と腰が引けた臆病な自分がいることを、自らはっきり認めてしまった。
どんなに深い愛をもってしても、超えられない運河がある、と。

だが、そんな不安を少しでも感じてしまうなら、本物の運命ではない。
ただそこに一寸の幻想を抱いていたにすぎない。

甘い熱を通り過ぎて、とっさにそう判断した冷静な自分がいた。
最後の最後で、後先を顧みようとしない本能を押し殺す、いつもの悪い癖が出た。
自分を呪いたくなるくらい、客観視しようとする冷たい慧眼のなせる業。
悲しいほどの自己防衛。


それからも何度かKから連絡はあったが、なんとなく気持ちが乗らなくて、あいまいな返事を繰り返し、結局再び会う事もなく、その後すぐ東京に出てくると同時に私はKの携帯番号を消去した。
それ以来、Kは私の想い出の中だけで生きる人になった。

そして今、自らネットでKのその後の消息を知り、えらく動揺しつつも、これでよかったんだと心から思った。
もしも、あのパーティーで私がKを追いかけていたら、事態は180度激変していただろう。
私の生活も未来もまったく違うものになっていたはずだ。
でも今は私のそばには大切な人がいる。
その人のあどけない寝顔を見ていると、本当に幸せな気分になれる。
Kが会社を設立した時にも、今と変わらない笑顔をくれた人が。
この上もなく、私のわがままをいっぱい受け止めてくれた、愛すべきパートナー。
Kと私はもう互いに違う道を、戻れないくらいずいぶんと遠くまで歩いてきてしまった。
ほんのちょっとしたことで大きくすれ違った未来。
本当は今頃、Kの隣で笑っていたかもしれない、もう一人の私。
この命を捧げても何一つ惜しくはないと、本気で思った一途な想い。
あの時は死ぬほど叶えたかった、一生を共にすることを。

だけど。
なるべくして、道を分けた運命の向こう側。
私はなんの迷いも後悔もなく、満足して歩いているよ。
あなたと出逢えて、本当に良かった。
ありがとう、心から。
言葉で言い尽くせぬほど、素敵な夢を見た。
そして、あなたの幸せを誰よりも願っています。
決別の日の穏やかな朝焼けに誓った祈りと共に。


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